貴金属市況:31日のNY市場において、金は上昇、銀・パラジウムは下落
金:1937.23ドル(+4.17)<+0.22%>
銀:24.772ドル(-0.07)<-0.29%>
プラチナ:983.297ドル(-7.03)<-0.71%>
パラジウム:2261.585ドル(-4.48)<-0.2%>
米国時間31日のNY市場において、金は上昇、銀・パラジウムは下落しました。金はインフレの高進やロシア・ウクライナ間の戦況を反映し、安全資産として買いが入る形となりました。3月の上昇率は1.8%となりました。
金価格は、今年2月に2070.42ドルの高値を付けてから売られ過ぎになっており、現在は下値を固める動きになっていると考えます。1950ドル付近のレジスタンスゾーンを明確に抜けてくると上昇基調に入ると思われます。2月の米個人消費支出統計では、物価上昇圧力は1980年代初め以来の大きさとなり、ウクライナ情勢も原油や貴金属、産業用金属相場の上昇を加速させ、インフレをより高進させる状況にあります。
今後は、FRBがインフレ抑制に向けて積極的に利上げすると見込まれ、次回は0.5%の利上げも考えられるため、これが金価格への抑制材料となっています。しかし、今回のしつこいインフレが下値を支えると考えられます。
今回のインフレは供給や輸送の問題が多いため、ウクライナでの戦闘によるロシアへの制裁も合わさり、そう簡単には沈静化しそうにないと思われます。世界中で物価が値上がりしていますので、これにさらなる紛争、災害リスクが加わってくるとより激しくなることが予想されます。
また、過去の利上げ後の金価格を見てみると、実際に利上げが行われた後には上昇を示していますので、今回のように供給サイドの問題によるインフレが加わると長期的な上昇を続けると予想されます。
現在、金ETF、特に世界最大の金上場投資信託であるSPDRゴールドトラストに買いが入り、その保有高は1070.53トンと2021年3月以来の高水準となっていますので、徐々に投資家の資金が金市場に流れ始めています。1950ドル付近のゾーンを明確に超え、上昇を見せてくるようですと、一層の買いが入ってくることが予想されます。
ただ今後、新たな新型コロナウイルスの情報などにより、2020年3月のようなコロナショックでの株式の暴落のようになってくるようですと、すべての資産に現金化の売りの可能性が懸念され、市場はより混乱すると思われます。
歯科金属・歯科スクラップ等を売却されるのは、ウクライナ情勢に加え円安も手伝って金・パラジウムが値を戻し、特にパラジウムは中国の自動車生産の回復も加わり、急上昇していますので、良い時期と考えます。
※記事はNY時間の米ドル価格での変動です。日本円の取引価格では時差と為替の変動が加味されます。