貴金属市況:18のNYは休場。先週はゴールドが大幅上昇、歴史的高値を更新
金:3328.05ドル(+3.25)<+0.10%>
銀:32.64ドル(+0.19)<+0.59%>
プラチナ:978.59ドル(+15.79)<+1.64%>
パラジウム:967.86ドル(+9.86)<+1.03%>
先週の貴金属市場では、金が大きく値を上げ、過去最高値を更新しました。新たなピークは17日(木)の3357.40ドルで、年初の2650ドルから約700ドル(およそ26%)の上昇幅となります。これは、変動性指数(いわゆる恐怖指数)であるVIXを除くと、他のエネルギー資源や株式・債券など金融商品を含めた全体の中でも、最も大きな伸び率となりました。なお、VIX自体は77%超と突出した上昇を見せており、それだけ世界の投資家が今の不確実な状況を警戒していることが伺えます。
為替市場を見ると、安全資産とされるスイスフラン、円、ユーロが軒並み10%前後上昇している一方で、米ドルは8%ほど価値を下げています。また、アメリカと日本の株式市場も大幅に下落しており、世界中の資金が「リスクの少ない資産」へと流れていることが明らかです。
そんな中、最も注目を集めているのがゴールドで、特に目立っているのが中国からの買いです。ここ最近では、東京市場の朝10時ごろ(ちょうど中国の取引時間開始と重なる時間帯)から金価格が急上昇する日が続いています。中央銀行の買いに加えて、個人の投資家層も積極的に金を購入しており、現物市場の上海黄金取引所と、先物取引を扱う上海先物取引所の両方で取引量が急増しています。ロンドン市場との価格差(いわゆるプレミアム)も拡大傾向にあり、中国国内での需要が強いことを示しています。
また、中国では金に連動する上場投資信託(Gold ETF)にも多くの資金が流れ込んでおり、4月に入ってからの約10日間で30トンに近い規模が買い付けられたと報告されています。この動きに対しては、中国の証券会社から注意喚起も出されているほどです。
このような中国の動きに加えて、欧米の投資家もリスクを避ける目的で金を購入しており、市場全体が「買い優勢」の状態になっています。これだけ急速に価格が上がっている背景には、こうした世界的な需要の広がりがあると言えるでしょう。
仮に金価格が一時的に下がるとしても、それは短期間で値上がりを狙った投資家の利益確定による売りが中心と考えられます。そして、そういった下げ局面ではすかさず新たな買いが入ってくる傾向が続いており、例えば3000ドルや3300ドルを割った場面でもすぐに値を戻しているのが実情です。よって、今のところ大きな価格調整は起こりにくいと見られます。唯一の材料となりうるのは、関税問題に進展があり、市場に安心感が戻るような事態でしょう。
なお、先週金曜日はイースター休暇により、世界の主要市場はほぼ全面休場。東京市場のみ取引が行われましたが、近年では東京市場も流動性が乏しく、実質的には休場と変わらない状況です。
今朝のマーケットについては、金曜日以降ほとんど動きがなかったことから、特筆すべき新たな材料はありません。週明けの本格的な取引再開を待ちつつ、各国の政治・経済動向がゴールド市場に与える影響に引き続き注視が必要です。
※記事はNY時間の米ドル価格での変動です。日本円の取引価格では時差と為替の変動が加味されます。