貴金属市況:12日のNY市場において、貴金属は全て下落
金:3236.90ドル(-39.10)<-1.19%>
銀:32.60ドル(-0.31)<-0.94%>
プラチナ:984.95ドル(-13.05)<-1.31%>
パラジウム:952.40ドル(-28.60)<-2.92%>
米国時間12日のNY市場において、貴金属は全て下落しました。市場の注目は米中両国による関税引き下げ合意に集まり、これが市場全体の流れを大きく変える結果となりました。
米国が中国への関税を145%から30%へ、中国が米国への関税を125%から10%へと大幅な引き下げに合意したことで、市場はリスクオン気配を強めました。この動きは特に為替市場と株式市場に顕著に表れ、米ドルの買いが優勢となり、株式市場も上昇基調を強めました。
一方で、この市場環境の変化は安全資産である金相場に大きな影響を与えました。金価格は3280ドルから3220ドルへと急落し、一時は3207ドルまで値を下げました。これは米国債利回りの上昇と相まって、金の投資魅力を一時的に低下させる要因となりました。
しかし、NY市場の後半では金相場の底堅さが際立ち、3200ドル前半で下値の支えが確認されました。これは市場が関税引き下げの影響を一巡させた後、金の本質的な価値を見直し始めた可能性を示唆しています。
為替市場では、ドル円が146円から148円台へと上昇する中、円建て金価格は一時15266円まで下落しましたが、その後15436円まで回復しています。この動きは、為替要因と金価格の変動が複雑に絡み合う中で、円建て資産としての金の相対的な強さを示していると言えます。
今回の市場動向は、地政学的リスクの緩和と経済成長期待の高まりが、一時的に金の投資魅力を低下させたものの、その後の底堅い動きは、金が依然として重要な安全資産としての地位を維持していることを示しています。今後は、関税引き下げの具体的な影響と、それに伴う経済指標の変化が、金相場の方向性を左右する重要な要素となると考えられます。
※記事はNY時間の米ドル価格での変動です。日本円の取引価格では時差と為替の変動が加味されます。