貴金属市況:30日のNY市場において、金が小幅上昇、プラチナは下落
金:3308.02ドル(+11.90)<+0.36%>
銀:33.08ドル(-0.01)<-0.03%>
プラチナ:1053.53ドル(-9.23)<-0.87%>
パラジウム:976.94ドル(+8.94)<+0.92%>
米国時間30日のNY市場において、貴金属相場は金が小幅上昇する一方、プラチナが下落するなど混合的な展開となりました。
前週は方向感に欠ける金市場となり、3300ドルを中心とした値動きが継続しました。EU向け50%関税の6月1日実施発表とその翌日の7月延期発表により、金相場は上昇と下落を繰り返し、最終的に3200-3400ドルの取引レンジの中央付近で週を終えました。週間の価格レンジは100ドルを超える大きな幅となりました。
注目すべきは、最近の価格変動幅(ボラティリティ)が金の取引史上でも特筆すべき水準に達していることです。5月の月間取引レンジは325ドルとなり、過去最大の4月の540ドルには及ばなかったものの、過去20年間の月間平均変動幅89ドルと比較すると異例の大きさとなっています。この背景には絶対価格水準の上昇もありますが、政策の不確実性が大きな要因となっています。
高いボラティリティは、関税政策の結果が物価に明確に現れるまでの期間、半年から1年程度は継続すると予想されます。昨年の継続的上昇相場とは対照的に、今年は激しい上下動を伴いながらの展開となっています。
また、トランプ大統領がアルミニウムと鉄鋼への関税を25%から50%へ引き上げると発表しており、米国のインフレ進行は避けられない状況となっています。
今週の市場開始時点では、金相場は前週終値の3289ドルに対して3300ドル台で取引を開始しており、当面は3300ドルを中心とした動きが継続する見込みです。
銀相場はほぼ横ばいとなり、わずか0.01ドルの小幅下落となりました。プラチナは9.23ドル下落し、0.87%のマイナスとなりました。一方、パラジウムは8.94ドル上昇し、0.92%の上昇となりました。
金以外の貴金属については、プラチナの下落が目立つ結果となりましたが、パラジウムは堅調な動きを見せており、個別の需給要因が影響していると分析されます。
今後の市場動向は、関税政策の実施タイミングと規模、およびそれらが実体経済に与える影響に大きく左右される見込みです。高いボラティリティ環境下において、市場参加者は政策発表とその修正を注視する展開が続くと予想されます。
※記事はNY時間の米ドル価格での変動です。日本円の取引価格では時差と為替の変動が加味されます。