貴金属市況:2日のNY市場において、金が大幅上昇、銀も昨年10月以来の高値
金:3385.02ドル(+89.38)<+2.71%>
銀:34.70ドル(+1.57)<+4.74%>
プラチナ:1070.80ドル(+17.40)<+1.65%>
パラジウム:998.61ドル(+28.21)<+2.91%>
米国時間2日のNY市場において、貴金属相場は全面高の展開となりました。特に金相場は89.38ドルの大幅上昇を記録し、2.71%の上昇率を示しました。
金相場は前営業日の3289ドルから大きく上昇し、3300ドル台で始まった後も上昇を継続しました。NY先物市場8月限は前営業日比81.8ドル高の3397.2ドルで取引を終え、取引レンジは3319.4ドルから3408.1ドルとなりました。現在は3390ドル付近まで上昇し、3週間ぶりの高値を記録しています。
この上昇の背景には、トランプ大統領が鉄鋼やアルミニウムに対する追加関税を現行の25%から50%に引き上げる方針を示したことがあります。週末には対中国政策についても強硬な姿勢を示しており、関税政策を巡る不安が市場に広がりました。これにより安全資産としての金に対する需要が高まりました。
また、外国為替市場において米ドル安が進行したことで、米ドル建てで取引される金が割安感から買われる要因となりました。
円建て金価格も、円高基調にもかかわらず大幅に上昇し、15500円を超える水準まで上昇しました。米ドル建て金価格の歴史的高値まではあと110ドル、円建て金価格についても過去最高値まで260円程度まで接近しています。
銀相場は特に顕著な上昇を見せ、1.57ドル高の34.70ドルとなりました。NY先物市場7月限では前営業日比1.665ドル高の34.694ドルで取引を終了し、昨年10月以来の高値を記録しました。これまで抵抗線となっていた33.50ドルを大きく突破し、一時34.87ドルまで上昇しました。
この銀価格の急上昇により、金銀比価(金価格を銀価格で割った値)は100から97まで急落しました。銀の割安感に注目していた投資家からの買いが集中したものと分析されます。外国為替市場での米ドル安進行も、米ドル建てで取引される銀の割安感を高める要因となりました。
プラチナ相場も17.40ドル上昇し、1070.80ドルとなりました。NY先物市場7月限では前営業日比8.3ドル高の1063.20ドルで取引を終了し、堅調な動きを見せました。
パラジウムは28.21ドルの大幅上昇を記録し、998.61ドルとなりました。2.91%の上昇率を示し、他の貴金属同様に買い圧力が強まりました。
今回の全面高は、前週までの3300ドルを中心とした取引レンジを上方に抜ける動きとなり、価格変動幅(ボラティリティ)の大きさを改めて示す結果となりました。
今後の市場動向は、関税政策の具体的な実施時期と規模、および米中貿易摩擦の展開に大きく左右される見込みです。政策の不確実性が継続する中、貴金属市場は引き続き政策発表に敏感に反応する展開が予想されます。特に、安全資産としての金への資金流入が続く可能性が高く、高いボラティリティ環境下での取引が継続する見通しです。
※記事はNY時間の米ドル価格での変動です。日本円の取引価格では時差と為替の変動が加味されます。