貴金属市況:6日のNY市場において、銀・プラチナが大幅上昇、金は調整局面
金:3316.03ドル(-50.97)<-1.51%>
銀:36.07ドル(+1.58)<+4.58%>
プラチナ:1170.65ドル(+77.65)<+7.11%>
パラジウム:1051.76ドル(+54.56)<+5.47%>
米国時間6日のニューヨーク市場において、貴金属相場は長期間にわたり金の陰に隠れていた銀とプラチナが大幅な上昇を見せる展開となりました。金相場は3300ドルから3400ドルへの上昇後、週末には3300ドル台に戻る往来相場となり、主役の座を他の貴金属に譲る形となりました。
米国の雇用市場に関する統計数値の変動により、金相場も上下に動く結果となりました。3400ドルの節目を突破できなかった一方で、3300ドルの重要な支持線を維持したことは、市場では前向きに評価されています。株式市場においてリスク選好的な動きが広がる中、金相場が大幅な下落を回避し上向きの動きを維持していることは、各国中央銀行(中央政府の金融機関)を中心とした金に対する購入意欲が依然として強固であることを示しています。
米国の雇用市場の状況が緩やかな減速傾向を示しており、このペースが続く場合、連邦準備制度理事会(米国の中央銀行)は様子見の姿勢を維持し、トランプ大統領が強く要求する金利引き下げには慎重な対応を続けると予想されます。インフレーション(物価上昇)の問題が連邦準備制度理事会にとってより深刻な課題として認識されているためです。
今週は消費者物価指数の発表が予定されていますが、市場予想を上回る数値が発表された場合、連邦準備制度理事会による金利引き下げはさらに遠のくことになり、米ドルの買い戻しと同時に金相場には上値を抑える要因となる可能性があります。しかし、仮にそれにより金相場が3200-3100ドルまで下落する場面があれば、それは買い増しの好機と考えられます。
今週も銀とプラチナへの注目が高まり、金相場は脇役的な立場になる可能性がありますが、プラチナや銀の上昇は金相場の買い意欲も押し上げる効果があります。下落局面では見逃さないよう注意が必要です。
金曜日の終値3309ドルに対して今朝の開始価格は3317ドル前後と上昇してスタートしました。下落時に買いに入る投資家が多いと考えられます。
銀相場が大幅な上昇を見せました。33ドルで始まった一週間は金曜日には36ドルを超えるまで上昇しました。銀価格が36ドルを超える水準まで上昇したのは過去に3回しかなく、高値水準は2012年以来13年ぶりとなりました。金曜日の市場終了間際でも大きな下落はなく、週末に下げて終わった金相場とは対照的な動きとなりました。市場では40ドルや50ドルといった予想も出てきています。一時107まで上昇していた金銀価格比率も92まで低下し、銀の割安状況が大きく改善されてきていますが、歴史的に見ると銀は依然として金に対して割安な状態が続いています。
ロンドン・プラチナ・ウィーク(プラチナ関連の国際会議)以降に上昇しているプラチナの勢いが継続しています。前週は1100ドルを大きく上回りました。1か月物のリース金利(貸出金利)は16%台に急上昇しており、これまでの一時的な上昇とは明らかに異なる動きを見せています。現物の供給不足がそのまま価格に影響を与えており、中国の大量輸入もその要因の一つとなっています。安易な売り注文は困難な相場状況であり、これまで継続的に積み立て投資を行ってきた投資家にとっては、その努力がようやく報われる結果となったと言えるでしょう。
年初からの上昇率はプラチナが28.43%、金が26.32%となり、プラチナが金を上回りました。わずか2週間でこれほどの変化があることは驚くべきことです。長期間にわたりプラチナは900-1000ドルの取引レンジでの売買が続いていました。従来の投資戦略は900ドル近辺での買い注文、1000ドル近くでの利益確定売りというレンジ取引でした。これは何度も成功する戦略でした。900ドル割れから大幅に下落するリスクはほとんどないと考えられていました。これ以上下落すると南アフリカ共和国がプラチナの生産を継続できなくなるためです。
このレンジ取引戦略で重要だったのは、必ず買い注文から開始することでした。900ドルでの買い注文から始め、決して1000ドルでの売り注文から開始しませんでした。理由は、900ドル以下に大幅下落するリスクはほとんどないと考えられる一方、1000ドルを超えて上昇する可能性は無限大に思えるからです。さらに金価格の3分の1以下という歴史上ほとんど前例のないプラチナの割安状況を考慮すると、売り注文から開始する勇気はありませんでした。そのため、絶対に売り注文から開始しないことを強調してきました。そして予想通りの展開となりました。
※記事はNY時間の米ドル価格での変動です。日本円の取引価格では時差と為替の変動が加味されます。