貴金属市況:27日のNY市場において、金相場は調整が継続、プラチナは大幅反落
金:3268.92ドル(-22.97)<-0.70%>
銀:35.86ドル(-0.69)<-1.89%>
プラチナ:1346.23ドル(-40.32)<-2.91%>
パラジウム:1136.59ドル(-2.41)<-0.21%>
27日のNY貴金属市場では、全面安の展開となり、金は今年初めての本格的な調整局面に入りました。
金価格は大幅反落し、NY金先物中心限月8月限は前日比60.4ドル安の3287.6ドルで取引を終了しました。イスラエル・イラン紛争でトランプ大統領の「停戦宣言」により、イスラエル・イラン・米国のすべてが勝利宣言をするという状況で停戦となったことが、マーケットのリスクオンを後押ししました。
株式市場は地政学リスクなどなかったように上昇し、週末にはS&P500が市場最高値を更新、日経平均も4万円台を回復しました。これにより地政学リスクプレミアムが金から落ちていく状況を招いています。米中両国がレアアース(希土類)の対米輸出迅速化で合意したことも報じられ、市場ではリスクオン選好が強まりました。
今まで金一辺倒であった貴金属市場ですが、プラチナ、銀そしてパラジウムという他の貴金属にも投資家の注目が集まりだし、金から明らかに割安なその他のメタルに資金移動があった可能性があります。その結果、一週間を通して金は頭が重たい展開となりました。
金曜日には3300ドルを割り込み、一週間の終わりは3270ドル台と二週連続での週間下落での終わりとなりました。年初から4月後半まで2600ドルから3500ドルまで一気に上昇したことを考えると、遅すぎたくらいの調整と言えるでしょう。
円建て金価格は月曜日に歴史的高値を更新し、新高値は16077円となりましたが、その後の下げ方は大きく、金曜日の安値は15144円と高値から930円もの下落となりました。今週は二週間連続の下落となり、過去の傾向を見ると二週間連続の下落の後は上昇する傾向があります。
銀価格は35.86ドル台で推移し、前日比0.69ドル(1.89%)の下落となりました。金価格の調整に連れて下落していますが、金以外の貴金属への投資家の関心は継続しています。
プラチナ価格は1346.23ドル台で取引され、前日比40.32ドル(2.91%)の下落となりました。6月を通じて大幅上昇してきた反動で調整局面に入っていますが、構造的な供給不足問題は継続しており、長期的な上昇トレンドは維持されています。リース金利の高止まりと現物不足により、プラチナ市場のタイト感は依然として強い状況です。
パラジウムは1136.59ドル台で小幅安となり、前日比2.41ドル(0.21%)の下落にとどまりました。プラチナ族金属(PGM)の中では相対的に下落幅が限定的でした。
今週は月末期末でWindow Dressingやオプション満期絡みでの売買が活発化する可能性があります。日経CFDが500円、NYダウCFDが200ドルも上昇するなど、まさにリスクオンの状況となっています。
貴金属セクター全体では、地政学的リスクの後退により安全資産としての需要が一時的に減退していますが、構造的な供給不足問題と長期的な工業需要の拡大は継続しています。特にプラチナとパラジウムについては、金と比較して相対的な割安感が残っており、今回の調整局面は投資機会となる可能性があります。
技術分析面では、金価格は3200ドル台での推移が予想され、年初からの急激な上昇を考慮すると適切な調整範囲内とも評価できます。プラチナについては、6月の約50%上昇の反動で調整が続く可能性がありますが、長期的には2008年以来の高値圏での推移が期待されます。
世界最大規模の金ETF「SPDRゴールド・シェア」の現物保有量は、27日時点で前日比1.43トン増の954.82トンとなり、2024年12月末と比べ82.3トン増加しています。価格下落にもかかわらずETFへの資金流入が続いており、長期的な金需要の堅調さを示しています。
※記事はNY時間の米ドル価格での変動です。日本円の取引価格では時差と為替の変動が加味されます。