貴金属市況:4日の貴金属市場において、金はレンジ取引継続、銀・プラチナが堅調
金:3334.87ドル(-7.13)<-0.21%>
銀:37.19ドル(+0.33)<+0.89%>
プラチナ:1400.93ドル(+22.93)<+1.66%>
パラジウム:1144.20ドル(+10.29)<+0.91%>
4日の貴金属市場では、独立記念日のため米国市場が休場となりましたが、金はレンジ取引が続き、銀とプラチナが堅調な動きを見せました。
金価格は3334.87ドル台で推移し、前日比7.13ドル(0.21%)の小幅安となりました。先週は金の調整局面というよりもレンジ取引が続いており、年初2600ドルから4月22日の3500ドルまでの史上初めてと言っていい大きな上昇の後、3500ドルでとりあえずの頭を打ち、それ以降は3200-3400ドルというレンジでの取引となっています。
この大きなしかも短期間での上昇を受けて、しばらくはこのレンジが続くことが予想されます。先週は独立記念日で米国は金曜日が休日となり、注目の雇用統計も木曜日の発表となりました。
前日水曜日に発表された民間のADP雇用統計(全米民間雇用報告)のNFP(非農業部門雇用者数)は9.8万人増の市場予想に対して3.3万人減という米国の経済の先行き不安を表す数字となりました。これは連邦準備制度理事会(FRB)による金利下げを予想させるものでした。
それに対して、翌日の労働省による雇用統計は真逆の結果となりました。NFPは11万人増の予想に対して14.7万人増、失業率も4.3%の予想に対して4.1%と米国の雇用マーケットの好調を示す数字となりました。
前日のADP雇用統計の結果が悪かったことで、金利下げ予想から金は3365ドルまで上昇しましたが、雇用統計発表直後に3350ドルから3311ドルまで売られました。その後は3340ドルまで戻し、3336ドルで一週間は終わりました。
雇用統計が好調な数字となったことで7月のFOMC(連邦公開市場委員会)における金利下げ予想は25%から5%まで下落し、とりあえず今月の金利下げの可能性はほぼなくなったとマーケットは見ています。ただ、トランプ大統領のパウエルFRB議長に対する利下げ要求は強くなる一方であり、これがFRBの独立性にどのような影響を与えるのか心配なところです。
一方、金利下げの遠のきは弱気要因であり、発表直後には上記のように金は売られたものの、すぐに買い戻されてやはり下値には買い意欲も強いようです。先々週の下げは拾うチャンスであると前回は書きましたが、前週の月曜日を底値として先週は基本的に上げたマーケットでした。
二週間連続の陰線(週初より週末の方が安くなること)の後は上昇する可能性が高いと先週のこのレポートに書きましたが、やはりその通りになりました。このレンジ取引はしばらく続きそうですが、とりあえず3300ドルを割るようなレベルでは買い意欲が強い状況です。
銀価格は37.19ドル台で推移し、前日比0.33ドル(0.89%)の上昇となりました。今朝は全体的に堅調ですが、特に金以外がより堅調で、銀は37ドルを大きく超えて前回の高値37.31ドルに迫る勢いです。金銀比価も90を割り込むのは3月後半以来です。
プラチナ価格は1400.93ドル台で取引され、前日比22.93ドル(1.66%)の上昇となりました。再び1400ドルを挟む動きになりそうで、金へのキャッチアップが続いています。構造的な供給不足問題は継続しており、長期的な上昇トレンドは維持されています。
パラジウムは1144.20ドル台で前日比10.29ドル(0.91%)の上昇となりました。プラチナとともに堅調な推移を続けています。
今週はBRICSサミットからの動き、そしてトランプ大統領が送るという関税書簡の内容が注目されそうです。また、7月9日の米相互関税上乗せ分停止措置期限を控え、貿易関連のニュースにも注目が集まっています。
貴金属セクター全体では、金がレンジ取引に入っている一方で、銀とプラチナが相対的に堅調な動きを見せています。特に銀については、金銀比価の低下により投資家の関心が高まっており、工業需要の拡大も背景となっています。
技術分析面では、金価格は3200-3400ドルのレンジでの推移が予想され、年初からの急激な上昇を考慮すると適切な調整範囲内とも評価できます。銀については、37ドル台での上昇が続いており、前回の高値37.31ドルへの挑戦が視野に入っています。プラチナについては、1400ドル台での推移が続いており、2008年以来の高値圏での動きが継続しています。
※記事はNY時間の米ドル価格での変動です。日本円の取引価格では時差と為替の変動が加味されます。