貴金属市況:11日のNY市場において、関税戦争拡大への懸念から質への逃避が続く
金:3356.33ドル(+21.18)<+0.63%>
銀:38.38ドル(+1.00)<+2.68%>
プラチナ:1407.53ドル(+53.88)<+3.98%>
パラジウム:1225.00ドル(+83.00)<+7.27%>
11日のNY貴金属市場では、トランプ大統領による追加関税措置の発表を受けて、貴金属全般に買いが優勢となりました。特に白金族金属(PGM)の上昇が目立つ展開となり、関税戦争の拡大懸念から質への逃避が続いています。
金価格は3356.33ドルで前日比21.18ドル(0.63%)の上昇となりました。トランプ大統領がカナダに35%の関税を課すと発表し、8月1日からの発動を示したことで、世界的な貿易戦争の拡大懸念が再燃しました。これまでゴールドの3300ドル割れは確実に買われるというレンジトレーディングが続いており、最近では週後半から週末にかけてゴールドが上昇するパターンが顕著になっています。過去2週間の訂正局面でゴールドの下値の固さが確認されたことも、この上昇の背景にあるでしょう。
銀価格は38.38ドルで前日比1.00ドル(2.68%)の上昇となりました。銀のリースレートは大幅に上昇し、1ヶ月物で7%という高水準に達しています。これは金には関税がかからないことが明確になっているものの、その他の金属については依然として不透明な状況にあることを反映しています。銅への関税措置により、産業用金属として類似性のある銀に対する懸念が一斉に高まっています。
プラチナ価格は1407.53ドルで前日比53.88ドル(3.98%)の大幅上昇となりました。プラチナのリースレートは引き続き高止まりしており、供給面での懸念が価格を押し上げています。関税適用の可能性が残されているPGMに対する警戒感が強まっており、市場の流動性にも影響を与えています。
パラジウムは最も大幅な上昇を記録し、1225.00ドルで前日比83.00ドル(7.27%)の大幅上昇となりました。パラジウムのリースレートも大きく上昇しており、プラチナで起こっている供給面の問題がパラジウムにも波及している状況です。元々の流動性が低いことから、パラジウム市場のタイトな状況が価格上昇を加速させています。
先週の動きを見ると、他の貴金属の上昇率がゴールドを大幅に上回っており、圧倒的な年初来上昇率を誇っていたゴールドが最下位となる展開となりました。これまで「高すぎた」ゴールドに対して「出遅れ感」を感じる投資家が増えており、これが新たなゴールドへの見直しにつながる可能性があります。
為替市場では、関税戦争の再燃によりドル円が再び円安トレンドへと動いており、週初の144円台半ばから週末は147円半ばまでほぼ3円の円安が進みました。トランプ関税円安で150円まで上昇する可能性があるとの見方も出てきています。円建てゴールドはドル建てゴールドの上昇と円安を受けて、週初の安値15333円から金曜日には15961円の高値をつけ、600円以上の大幅な上昇となりました。
市場では、前々週に議会を通った「Big beautiful bill」に対する見方が分かれており、財政支出を肯定的に捉える投資家は株式を買い、将来の負担を懸念する投資家はゴールドを買うという、株式とゴールドの両方が買われる状況が続いています。
ゴールドは4月後半に3500ドルを付けてからの3200-3400ドルのレンジトレーディングを上に突き破る可能性があり、今後の関税政策の動向と市場の反応が注目されます。金以外の貴金属については、関税適用の可能性が残されているため、引き続き神経質な展開が予想されます。
ETFの動向を見ると、SPDRゴールド・シェアの現物保有量は11日時点で前日比1.17トン減の947.64トンとなりましたが、2024年12月末と比べると75.12トン増加しており、中長期的な需要は堅調を維持しています。
技術的には、ゴールドの下値の固さが確認されており、週後半から週末にかけて上昇するパターンが定着しつつあります。これは週末の間にトランプ大統領による関税戦争の悪化を恐れる投資家が安全資産としてのゴールドを買うとともに、短期的なショートの手仕舞いが入るためと考えられます。
総じて、関税戦争の拡大懸念は金以外の貴金属により大きな影響を与えており、特にリースレートの上昇を通じて市場の流動性に大きな変化をもたらしています。今後の政策動向と市場の反応を注視する必要があります。
※記事はNY時間の米ドル価格での変動です。日本円の取引価格では時差と為替の変動が加味されます。






