貴金属市況:22日のNY市場において、金は大幅続伸、パウエル議長のハト派発言で6月中旬以来の高値
金:3367.27ドル(+37.96)<+1.14%>
銀:38.93ドル(+0.95)<+2.50%>
プラチナ:1369.74ドル(+24.94)<+1.85%>
パラジウム:1134.66ドル(+21.66)<+1.94%>
22日のNY貴金属市場では、金価格が大幅に上昇し、ジャクソンホール経済政策シンポジウムでのパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長のハト派的な発言を受けて、6月中旬以来約5週間ぶりの高値を記録しました。
金価格について、外部参考資料によればNY金先物中心限月8月限は前日比37.3ドル高の3443.7ドルとなり、米長期金利の低下や外国為替市場でドル指数が下落したことを受けて買い優勢の展開となりました。
今回のパウエル議長の発言は、市場の大半の予測に反する鳩派色の強いものでした。「リスクのバランスが変化しており、政策スタンスの調整を正当化する可能性がある」として、9月の利下げに積極的な態度を示したものとして市場は激しく反応しました。NYダウは800ドルを超える上昇となり、金も3330ドルから3370ドル台へ急伸、ドルと長期金利は急激に下落しました。
これで市場の空気感はこれまでとは一変したと言えるでしょう。ただし、利下げを完全に確約したものではなく、議長はインフレリスクにも触れています。「関税による物価上昇圧力がより持続的なインフレ力学をもたらす可能性がある」として、その論調からするとおそらくは9月に0.25%の利下げは容認するものの、その後もインフレを監視するという警戒的なものとなっています。
政権が要求するような連続的な金利引き下げに結びつくものではないでしょう。その影響もあってか、FedWatchでの9月の利下げ確率も上昇するどころか、ジャクソンホール後には利下げ確率は前日の85%から75%へと減少しました。継続的に上昇し続ける相場環境にはまだ至らないようです。
パウエル議長は経済成長が「今年前半に著しく減速した」ことを指摘し、年率1.2%まで低下したことを挙げました(昨年は2.5%)。また、労働需要の「顕著な鈍化」があり、失業率上昇の脅威があることも付け加えました。
一方で、関税が商品価格を押し上げ始めており、今後もインフレを押し上げ続ける可能性があると述べました。この可能性をFRB当局者は注視し、追加利下げに慎重になる要因となります。
FRBの主要短期金利は現在4.3%で、住宅ローンや自動車ローンなど他の借入コストに影響を与えています。トランプ大統領は1%まで下げるよう求めていますが、これはFRB当局者の誰も支持していないレベルです。
政治的な圧力も継続しています。トランプ大統領はFRBのリサ・クック理事に対し、辞任しなければ解雇すると述べています。クック理事は「いじめられて辞任するつもりはない」と応じており、FRBの独立性を巡る議論が続いています。
銀価格は38.93ドルで前日比0.95ドル(2.50%)の大幅上昇となりました。NY先物市場9月限は前営業日比0.975ドル高の39.054ドルとなり、パウエル議長がジャクソンホールで米政策金利引き下げ検討を慎重に進められる旨コメントしたことから、ドル安となりドル建てで取引される銀は割安感から急騰しました。
プラチナ価格は1369.74ドルで前日比24.94ドル(1.85%)の大幅上昇となりました。NY先物市場10月限は前営業日比4.2ドル高の1,363.10ドルで取引を終了し、金の上昇に連れる形で続伸しました。
パラジウム価格は1134.66ドルで前日比21.66ドル(1.94%)の上昇となりました。他の貴金属の大幅上昇に追随する動きを見せました。
FRBクリーブランド地区連銀のハマック総裁は、FRBの独立性へのコミットメントを表明し、「良い結果を国民に提供することにレーザーフォーカスしており、他のノイズは無視するよう努めている」と述べました。彼女はインフレとの戦いが必要だという懸念を維持しており、「インフレは高すぎて、間違った方向にトレンドしている」と述べています。
本日朝の市場は、ほぼ金曜日の終値水準での取引開始となりました。パウエル議長の発言の市場評価がどう推移するのか、相場の方向性が注目されます。ドル円は、緩やかに上昇しており現在147.20を上回り、円建て金価格は15940円となっています。
※記事はNY時間の米ドル価格での変動です。日本円の取引価格では時差と為替の変動が加味されます。






