貴金属市況:27日のNY市場において、金は続伸、トランプ大統領のFRB理事解任発言で政治的混乱続く
金:3398.10ドル(+17.30)<+0.51%>
銀:38.61ドル(+0.10)<+0.26%>
プラチナ:1350.28ドル(+1.94)<+0.14%>
パラジウム:1097.94ドル(-1.44)<-0.13%>
27日のNY貴金属市場では、金価格が続伸し、トランプ大統領によるFRB理事解任発言を巡る政治的混乱が継続する中で、安全資産としての需要が支えとなりました。NY金先物中心限月12月限は前日比15.6ドル高の3448.6ドルとなりました。
NY市場の引け後のGlobex取引では3399ドルまで上昇し、トランプ大統領のFRB理事解任に関するSNS投稿から始まった金価格の堅調な動きが続いています。
ニューヨーク連邦準備銀行のウィリアムズ総裁は27日、米CNBCテレビのインタビューで、経済は失速していないと発言し、9月の米利下げ再開についてデータを見極める必要があるとして早急な政策判断に慎重な姿勢を示しました。この発言を受けて外国為替市場でドル指数が上昇し、一時的に金の売りが先行しましたが、その後は米長期金利が低下し、ドル高が一服したことから押し目買いが優勢となる展開となりました。
トランプ大統領は今週初めにFRB理事のリサ・クック氏を理事会から解任すると発表しました。一方、クック理事の弁護士は、トランプ大統領による解雇を阻止するため訴訟を起こすと述べており、長期化する可能性のある法的闘争が始まっています。
CPMグループの運用パートナーであるジェフリー・クリスチャン氏は、「トランプ大統領がFRB理事を解雇すると脅すことは、経済、金利、ドルにとって本当に悪影響だ」と述べ、「人々は経済にとって何を意味するのかを見極めようとしているため、金価格は比較的狭い範囲にとどまっている」と分析しています。
金曜日には、FRBが重視するインフレ指標である個人消費支出(PCE)価格指数の7月分が発表される予定です。ロイター通信が調査したエコノミストらは、PCE価格指数が6月と同じ2.6%の上昇になると予想しています。
キトコメタルズのシニアアナリストであるジム・ワイコフ氏は、「もしPCEデータがより強いインフレを示す予想外の結果となれば、FRBが9月に金利を引き下げることができるかどうか疑問視され始めるかもしれない」と述べながらも、「9月の利下げを阻止するには、非常に強いインフレ数値が必要だと思う」と分析しています。
市場では、来月のFRB政策会議で25ベーシスポイントの利下げが行われる確率を87%以上と見込んでいます。金は利回りがゼロの資産であるため、低金利環境で輝きを増し、不確実性に対するヘッジとして機能します。
銀価格は38.61ドルで前日比0.10ドル(0.26%)の小幅上昇となりました。銀は38.43ドル付近で取引を続けており、39.06ドルで拒否された後に統合局面にあります。4時間足チャートでは対称三角形パターンを形成しており、37.04ドルを上回る高値と39.97ドルからの安値で構成されています。
技術的には、50期間単純移動平均線の38.15ドルがクッションとなり、銀価格は繰り返しこの水準を上回って反発しています。RSIは50で中立的であり、買い手と売り手の間の綱引きを示しています。MACDヒストグラムはゼロ付近で横ばいとなり、勢いが薄れていることを示唆しています。
銀のシルバーリースレートは1ヶ月物で3.4%まで上昇しており、3%台は久しぶりの水準です。このリースレートをゴールドと比較すると、ゴールドの流動性が圧倒的であることがよくわかります。シルバーの流動性は要注意の状況であり、跳ねる時は大きく跳ねる可能性が高まっていると考えられます。
プラチナ価格は1350.28ドルで前日比1.94ドル(0.14%)の小幅上昇となりました。中国のプラチナ輸入に関する7月のデータが発表され、4月から5月の11トンから12トンという大きな数字から、7月は7.6トンと3月のレベルと同じになりました。年初からの合計は58トンとなっています。
この輸入量の減少は、中国での需要の勢いが落ち着いてきた可能性を示唆しています。また、市場関係者からの情報によると、深圳-香港でプラチナが流出している可能性のある動きが見られるとの指摘もあります。中国ではゴールドもプラチナも輸出が法的に禁止されていますが、ゴールドは香港を通じて流出しているのが実態であり、プラチナも必要以上に購入された分が香港を通じて環流してくる可能性があります。
パラジウム価格は1097.94ドルで前日比1.44ドル(0.13%)の小幅下落となりました。他の貴金属が上昇する中で、工業需要の先行きに対する懸念が継続しています。
ETF動向では、世界最大規模の金ETF「SPDRゴールド・シェア」の現物保有量が27日時点で前日比1.43トン増の959.92トンとなりました。2024年12月末と比べ87.4トン増加しており、政治的不確実性の高まりを背景とした投資需要の継続を示しています。
市場全体としては、トランプ大統領のFRB理事解任発言による政治的混乱と、金曜日のPCE価格指数発表を控えた慎重な動きが続いています。FRBの独立性を巡る議論と、インフレ動向が9月の利下げ判断に与える影響が、今後の貴金属価格の方向性を左右する重要な要因となっています。
※記事はNY時間の米ドル価格での変動です。日本円の取引価格では時差と為替の変動が加味されます。






