貴金属市況:29日のNY市場において、金は週間大幅続伸、3450ドル接近でレンジ上抜け鮮明
金:3449.25ドル(+56.62)<+1.67%>
銀:39.72ドル(+0.92)<+2.37%>
プラチナ:1371.28ドル(+22.79)<+1.69%>
パラジウム:1119.10ドル(+21.60)<+1.97%>
29日のNY貴金属市場では、金価格が週間を通じて大幅続伸し、3450ドル台に接近する展開となりました。NY金先物中心限月12月限は前日比41.8ドル高の3516.1ドルとなり、中心限月清算値ベースで最高値を更新しました。4月後半から続いてきた3200-3400ドルレンジを完全に上抜け、年後半に向けた新たな上昇局面の開始を印象づける動きとなりました。
この週間の上昇の直接的な引き金となったのは、トランプ大統領によるクックFRB理事の解雇宣言でした。この発言にマーケットは素直に反応し、FRBの独立性が脅かされることへの懸念から、ドルの信認低下とインフレ加速への警戒感が高まりました。トランプ大統領が息のかかった人間をFRBに送り込み、パウエル議長の後釜も自分が望む議長を選んで金利下げを強要するという未来が現実味を帯びれば、既に収まったとは言えないインフレがさらに加速する可能性があります。
減税や財政出動といったトランプ政策は通貨の増刷や国債発行による連邦負債の増大につながるため、まともな感覚の投資家であれば当然株や金を買いに走ることになります。ドルや通貨をそのまま保有することが大きなリスクになるという認識が広がっています。
火曜日の東京の朝には金価格がドル上昇を受けて3370ドル台から3350ドルまで急落しましたが、その直後にトランプ大統領のSNS発言が伝えられると金価格はそこから急騰し、3385ドルまで上昇しました。そのエネルギーが爆発したのが金曜日で、木曜日に3400ドルを超えた後も上昇を続け、金曜日にはこれまで超えられなかった3430ドルを超えて、週末に向かってショートカバーも入ったと思われます。高値は3453ドルまでありました。
ドル建て金の高値は4月22日につけた3500ドルですが、そこまであと50ドルというところまで来ています。一方、円建て金は7月23日につけた16199円を金曜日に大きく超え、新しい高値は16316円となりました。税込み小売価格も月曜日には18000円レベルになる可能性があります。
29日にミシガン大学が発表した消費者信頼感指数(確報値)は58.2と、前月の58.6や事前予想の58.6を下回りました。これを受けて外国為替市場ではドル指数が下落し、金の買いが一段と優勢となりました。来月の米利下げ観測が高まっており、米長期金利が低下したことも金価格の押し上げ要因となっています。
銀価格は39.72ドルで前日比0.92ドル(2.37%)の大幅上昇となりました。銀は50日移動平均線の37.60ドルを大きく上回って推移しており、強気のポジショニングが鮮明になっています。重要な抵抗線である39.13ドルを突破し、7月の14年ぶり高値である39.53ドルに迫る展開となりました。
市場では85%以上の確率で9月の利下げが織り込まれていますが、PCE価格指数の結果次第では銀の上昇が加速する可能性があります。39.53ドルを明確に上抜けすれば、44.00ドルゾーンが次の目標となります。
プラチナ価格は1371.28ドルで前日比22.79ドル(1.69%)の大幅上昇となりました。中国での投資商品需要の強い成長とプラチナジュエリー需要が世界プラチナ投資評議会(WPIC)の予想を上回っていることが市場をサポートしています。
パラジウム価格は1119.10ドルで前日比21.60ドル(1.97%)の大幅上昇となりました。ロシア産パラジウムに対する米国の関税見通しを巡る思惑が価格変動を左右していますが、週間を通じて貴金属全体の上昇に連動する動きとなりました。
ETF動向では、世界最大規模の金ETF「SPDRゴールド・シェア」の現物保有量が29日時点で前日比9.74トン増の977.68トンとなりました。2024年12月末と比べ105.16トン増加しており、政治的不確実性の高まりを背景とした投資需要の急激な拡大が続いています。2日間で17.76トンの大幅な流入は、機関投資家による積極的な買いを示しています。
今後の注目材料として、金曜日に発表予定のPCE価格指数があります。7月分のヘッドラインPCEは前年同月比2.6%上昇、コアPCEは2.9%上昇が予想されています。予想を下回る軟調な結果が出れば、政策緩和への期待が一段と高まり、貴金属価格をさらに押し上げる可能性があります。
市場全体としては、4月末から続いたレンジ相場が終わり、年後半に向けて新しいマーケットが始まることになると考えられます。トランプ政権の政策とFRBの独立性を巡る政治的混乱が続く限り、金をはじめとする貴金属への資金流入は継続する可能性が高く、3500ドルの歴史的高値更新への期待が高まっています。
※記事はNY時間の米ドル価格での変動です。日本円の取引価格では時差と為替の変動が加味されます。






