貴金属市況:4日のNY市場において、金は史上最高値圏で調整、銀は14年ぶり高値から反落
金:3545.46ドル(+13.12)<+0.37%>
銀:40.68ドル(-0.14)<-0.34%>
プラチナ:1381.01ドル(-25.79)<-1.83%>
パラジウム:1130.69ドル(-8.27)<-0.73%>
4日のNY貴金属市場では、前日の史上最高値更新を受けた調整局面となりました。金価格は3545.46ドルで前日比13.12ドル(0.37%)の小幅上昇となったものの、取引中は3580ドル近辺の記録的高値から3500ドル手前まで大きく振れる展開となりました。
金価格の動きは、雇用統計発表を翌日に控えた慎重な市場心理を反映したものでした。3日に発表されたJOLTS雇用データが市場予想を大幅に下回り、FRBの利下げ期待が一段と高まったことで記録的高値を更新しましたが、4日は利益確定売りが先行しました。
一方で、ISMサービス業PMIが50.1と前月の52から低下したものの、市場予想を上回ったことで米ドルが一時的に強含み、金価格の上値を抑える要因となりました。それでも、FRBの利下げ期待は依然として強く、9月17日の会合での25ベーシスポイント利下げ確率は90%を超える水準を維持しています。
技術的には、金価格は極度に買われ過ぎた状態にあります。RSI指標は84と極めて高い水準にありながらも、強気の勢いに衰えは見られません。20日移動平均線は3391ドル付近にあり、価格は移動平均線を大幅に上回って推移しています。サポートレベルは3551.40ドル、3538.90ドル、3526.60ドルに設定されており、レジスタンスは3580ドル、3600ドル、3615ドルとなっています。
世界的な長期国債金利の上昇が続く中、英国の30年物国債利回りが数年ぶりの高水準に達するなど、各国政府の財政支出拡大に対する投資家の懸念が高まっています。このような「政府財政への不信」から生じる長期国債売りは、通常の金利上昇とは異なり、安全資産としての金への需要を支える要因となっています。
銀価格は40.68ドルで前日比0.14ドル(0.34%)の小幅下落となりました。前日に14年ぶりの高値である41.45ドル近辺まで上昇した後、利益確定売りに押される展開となりました。40.75ドル付近で取引されており、5日間の連続上昇が止まりました。
銀の調整は、過去2週間の急激な上昇に対する自然な反動と考えられます。技術的には、23.6%フィボナッチ戻しレベルである40.40ドル付近がサポートとして機能しており、この水準を下回れば40ドルの心理的節目、さらには39.50-39.40ドルのサポートゾーンまで調整する可能性があります。
しかし、銀の構造的な強さは変わっていません。米国が銀を重要鉱物リストに正式に追加したことで、戦略的価値が高まっています。米国の銀消費量の約70%を輸入に依存しており、主要供給国であるメキシコ、カナダ、ペルーからの供給リスクが地政学的な観点から注目されています。
また、太陽光発電の急速な普及により、2025年には米国の新規発電容量の50%以上を太陽光が占める見通しで、銀の工業需要は堅調に推移すると予想されます。アナリストは銀の目標価格として41ドル、47ドル、66ドルを設定しており、長期的な上昇トレンドは維持されると見込まれています。
プラチナ価格は1381.01ドルで前日比25.79ドル(1.83%)の下落となりました。1426ドルの抵抗線を突破できずに反落し、1383ドル付近のサポートを試す展開となりました。Anglo Americanが保有するValterra Platinumの残存株式19.9%を25億ドルで売却したことが、プラチナ市場に一時的な売り圧力をもたらしました。
しかし、プラチナの供給制約は続いており、南アフリカの生産能力は2008年の81鉱山から現在53鉱山へと35%減少しています。中国での投資需要とプラチナジュエリー需要も堅調に推移しており、構造的な需給バランスは引き続きタイトな状況にあります。
パラジウム価格は1130.69ドルで前日比8.27ドル(0.73%)の下落となりました。ロシア産パラジウムの供給懸念は続いているものの、貴金属全体の調整局面に連動した動きとなりました。金対パラジウムの価格比率は3を超える水準にあり、パラジウムは金やプラチナに比べて出遅れた状況が続いています。
市場は5日に発表される8月雇用統計に注目しています。7月の雇用統計が市場に大きな衝撃を与えたことから、今回の結果もFRBの金利政策に大きな影響を与える重要な指標となります。特に非農業部門雇用者数の変化と失業率の動向が、9月のFOMCでの利下げ幅を決める重要な材料となる見込みです。
貴金属市場全体としては、短期的な調整局面にありながらも、FRBの利下げ期待、財政政策への不信、地政学的リスクの高まりという基本的な上昇要因は変わっていません。金価格は歴史的高値圏での推移が続いており、さらなる上昇への期待は依然として強い状況です。
※記事はNY時間の米ドル価格での変動です。日本円の取引価格では時差と為替の変動が加味されます。






