貴金属市況:18日のNY市場において、金価格は3600ドル台でもみ合い継続、週安値を試す展開
金:3642.39ドル(+5.70)<+0.16%>
銀:41.84ドル(+0.61)<+1.48%>
プラチナ:1395.05ドル(+28.19)<+2.06%>
パラジウム:1171.48ドル(+21.48)<+1.87%>
18日のNY貴金属市場では、金価格が3600ドル台でのもみ合いを継続しました。
FOMC(連邦公開市場委員会)後の金市場は極めて慎重な動きとなっています。前日のFOMC直後に記録した史上最高値3707.40ドルから、東京時間午後11時前につけた安値3627.54ドルまで、その値幅は約80ドルにも及ぶ激しいボラティリティを示しました。
現在の金価格は、9月8日に3600ドルを超えて以来、3600ドル台でのもみ合い局面に入っていると考えられます。この状況は、過去の3300-3400ドルレンジでの推移と類似しており、3300ドルが重要なサポートとして機能したように、現在は3600ドルが同様の役割を果たしています。
技術的には、金価格は3630ドル付近の週安値をテストする展開となっています。RSI(相対力指数)は依然として買われ過ぎ圏にあり、利益確定売りが継続的に発生しています。しかし、3645ドル付近の強気フラッグパターンのブレイクアウトポイントからの夜間反発は、この水準が重要なサポートとして機能していることを示しています。
下値については、3645ドルを明確に下抜ければ、3610-3600ドルエリアがテストされる可能性があります。さらなる下落があれば3562-3560ドル、そして3500ドルの心理的節目まで調整する可能性もあります。
上値については、3678-3680ドルが当面の抵抗レベルとなり、3700-3707ドルの史上最高値圏を持続的に上抜けることが、新たな上昇局面への鍵となります。
FRBは前日、25ベーシスポイントの利下げを決定し、年内にさらに2回の利下げを示唆しました。軟化する労働市場への対応として、利回りを生まない金にとって支援材料となる金融緩和サイクルが本格的に始まりました。
ただし、パウエルFRB議長がインフレリスクの上昇を指摘し、金利政策について「会合ごとの判断」と述べたことで、より積極的な利下げへの期待は後退しました。FOMCの経済予想では、今年のインフレ率が3.0%と、FRBの目標である2%を大幅に上回る見通しが示されています。
地政学的リスクは引き続き金価格の下支え要因となっています。ロシア国防省は「特別軍事作戦地域のほぼ全方向で軍が前進している」と発表し、ドイツのメルツ首相はロシアがNATOとEUの領空を侵犯することで限界をテストしていると警告しました。また、EU委員会のフォン・デア・ライエン委員長はロシアのガス・石油輸入停止の加速を求めています。
中東情勢では、イスラエル軍がガザ市での爆弾を仕掛けた装甲車両の使用を強化し、住宅地区の破壊を進めています。23ヶ月間続くガザでの戦争に対する国際的な非難が高まる中、EUはイスラエルに対する関税賦課や過激派閣僚への制裁を検討しています。
円建て金価格は17200円での跳ね返りが続いています。過去2-3日間、17200円を下回った際の買い増しを検討していた投資家が多かったため、この水準で何度も反発する展開となっています。同様の相場観を持つ投資家が多く、下落時の買い需要が堅調に入っていることが伺えます。
ドイツ銀行は金価格予想を大幅に引き上げ、2026年の平均価格を従来の3700ドルから4000ドルに上方修正しました。中国を中心とした中央銀行の継続的な金購入とFRBの利下げ効果を背景に、金価格のフェアバリューモデルに対するプレミアムが持続すると予想しています。
同行の貴金属アナリスト、マイケル・スエ氏は、金価格の調整よりもさらなる上昇の可能性が高いとし、中央銀行による購入が来年900トンに達する可能性を指摘しています。また、FRBの独立性が疑問視される場合のリスクは金価格に有利に働くとしています。
銀価格は41.84ドルで前日比0.61ドル(1.48%)の上昇となりました。3日連続の下落から反発し、41.50ドルを上回って推移しています。強いインフレ見通しがFRBのより積極的な利下げ期待を抑制したものの、太陽光発電、電気自動車、電子機器分野での堅調な工業需要と継続的な供給制約が価格を支えています。
インドの銀輸入は今後数ヶ月で勢いを増すと予想されており、昨年の高水準な輸入による余剰分を既に吸収した堅調な投資・工業需要が背景にあります。ドイツ銀行は銀の2026年予想も40ドルから45ドルに引き上げており、5年連続の物理的不足が見込まれています。
プラチナ価格は1395.05ドルで前日比28.19ドル(2.06%)の大幅上昇となりました。FOMC後の利益確定売りから回復し、供給不足が続く構造的な強気要因が再び注目されています。
パラジウム価格は1171.48ドルで前日比21.48ドル(1.87%)の上昇となりました。ロシアに対する制裁強化の可能性が供給不安材料となり、買い戻しが入りました。
市場全体としては、FRB利下げサイクルの開始により中長期的な金融緩和環境が整う一方、インフレ懸念により利下げペースが抑制される可能性が高まっています。金価格は当面3600ドル台でのもみ合いが続くと予想されますが、地政学的リスクの継続と中央銀行の継続的な金購入が下値を支える構造は変わりません。
今後の注目材料は、週末の日銀政策決定会合と日本のCPI(消費者物価指数)発表です。日銀の政策据え置きが予想される中、円安圧力の継続と国内インフレ動向が円建て金価格に与える影響が注目されます。
投資家にとっては、3600ドル台でのもみ合い期間は、長期的な上昇トレンドの中での一時的な調整局面として捉えることができます。過去の3300-3400ドルレンジでの推移と同様、現在の水準での値固めが完了すれば、次の上昇局面への基盤が整うと考えられます。
※記事はNY時間の米ドル価格での変動です。日本円の取引価格では時差と為替の変動が加味されます。






