貴金属市況:19日のNY市場において、金価格は史上最高値圏で推移、FOMC後の利下げサイクル開始を好感
金:3686.23ドル(+39.93)<+1.10%>
銀:43.13ドル(+0.97)<+2.30%>
プラチナ:1411.89ドル(+33.02)<+2.40%>
パラジウム:1156.93ドル(+6.23)<+0.54%>
19日のNY貴金属市場では、金価格が史上最高値圏での堅調な推移を続けました。
先週のFOMC(連邦公開市場委員会)での0.25%利下げ決定を受けて、金融緩和サイクルの本格的な開始が金価格を押し上げています。前回のFOMC直後には激しい乱高下を見せた金価格でしたが、その後は着実に上昇基調を取り戻し、3700ドル台への接近を続けています。
FOMC後のパウエルFRB議長の記者会見では、これまで重視してきた高止まりするインフレよりも雇用市場の悪化をより重視する姿勢を鮮明にしました。軟化する労働市場への対応として実施された利下げは、利回りを生まない金にとって明確な追い風となっています。
市場では年内にさらに2回の利下げが予想されており、金利環境の改善が中長期的な金価格上昇の基盤を固めています。ただし、パウエル議長は今後の政策については「会合ごとの判断」と述べており、経済データ次第で利下げペースが調整される可能性も残されています。
技術的には、金価格は前回の急騰後に形成された3600-3700ドルレンジの上限に迫っています。4ヶ月間続いた3300-3400ドルレンジを上にブレイクしてから、わずか2週間でほぼ300ドルの上昇となった急騰の勢いが、新たな価格帯での値固めを経て再び加速しています。
過去の価格推移を見ると、年初から4月にかけての4ヶ月間で900ドルもの急騰があり、その後5月から8月まで同じ4ヶ月間のレンジでの調整を経験しました。現在の3600-3700ドルレンジでの推移も、次の上昇局面に向けた重要な基盤固めの期間として位置づけられます。
円建て金価格も史上最高値を更新し続けており、17530円の新高値を記録しました。ドル円相場の動向と合わせて、円建てでも堅調な上昇トレンドが継続しています。これまでディップらしいディップがほとんど見られない状況が続いており、押し目買いの機会を待つ投資家にとっては難しい相場環境となっています。
地政学的リスクも引き続き金価格の下支え要因となっています。ウクライナ情勢では、ロシア国防省が「特別軍事作戦地域のほぼ全方向で軍が前進している」と発表し、緊張状態が続いています。中東情勢でも、イスラエル軍によるガザでの軍事作戦が継続しており、国際的な不安定要因として金の安全資産としての需要を支えています。
銀価格は43.13ドルで前日比0.97ドル(2.30%)の大幅上昇となりました。金価格の上昇に連動した動きに加え、太陽光発電、電気自動車、電子機器分野での堅調な工業需要が価格を押し上げています。銀ETF(上場投資信託)への投資流入も続いており、2025年上半期の純流入は昨年全体を上回る水準となっています。
物理的な銀市場では5年連続の供給不足が見込まれており、構造的な需給逼迫が価格上昇の背景となっています。インドの銀輸入も今後数ヶ月で勢いを増すと予想されており、昨年の高水準な輸入による余剰分を既に吸収した堅調な投資・工業需要が続いています。
プラチナ価格は1411.89ドルで前日比33.02ドル(2.40%)の大幅上昇となりました。3年連続の供給不足が続く中、リースレートの高止まりが価格上昇を加速させています。2008年以来の高値を更新する動きとなっており、金価格との比較では依然として割安感があることから、投資資金の流入が続いています。
パラジウム価格は1156.93ドルで前日比6.23ドル(0.54%)の上昇となりました。ロシアに対する制裁強化の可能性が供給不安材料となっており、年初来高値を更新する展開となっています。自動車産業での需要回復と供給制約により、価格上昇圧力が継続しています。
中央銀行による金購入も価格上昇の重要な要因となっています。ドイツ銀行は金価格予想を大幅に引き上げ、2026年の平均価格を従来の3700ドルから4000ドルに上方修正しました。中国を中心とした中央銀行の継続的な金購入が来年900トンに達する可能性を指摘しており、構造的な需要増加が見込まれています。
市場全体としては、FRBの利下げサイクル開始により中長期的な金融緩和環境が整う中、地政学的リスクの継続と中央銀行による継続的な金購入が価格を下支えする構造となっています。短期的には3700ドル台への上昇が期待される一方、新たな価格帯での値固めも重要な局面となります。
今後の注目材料は、追加的な経済指標と地政学的情勢の動向です。FRBの利下げペースと雇用市場の動向、そして継続する国際的な緊張状態が金価格の方向性を決定する重要な要因となるでしょう。
※記事はNY時間の米ドル価格での変動です。日本円の取引価格では時差と為替の変動が加味されます。






