貴金属市況:1日のNY市場、銀は史上最高値58.02ドル、金銀比価は72台まで急落
金:4233.44ドル(+5.09)<+0.12%>
銀:58.02ドル(+1.12)<+1.97%>
プラチナ:1663.95ドル(-22.94)<-1.36%>
パラジウム:1428.04ドル(-40.93)<-2.78%>
1日のNY貴金属市場では、日本時間15時15分現在、金は4233.44ドル(前日比+0.12%)、銀は58.02ドル(+1.97%)、プラチナは1663.95ドル(-1.36%)、パラジウムは1428.04ドル(-2.78%)となりました。銀は史上最高値を更新し、6日連続の上昇となりました。
銀価格は12月1日に57.86ドルまで上昇し、新たな史上最高値を更新しました。1980年に記録した54.45ドルを大幅に上回りました。銀は2025年に入ってから価値がほぼ2倍になり、年初来上昇率は約94%に達しています。これは金の約60%の上昇を大幅に上回る成績です。銀の急騰により、金銀比価は72台まで急落しました。これは2021年8月以来の水準です。今年4月には100を超える水準まで上昇していたことを考えると、銀の割安度合いが急激に修正されていることがわかります。現在の金銀比価は74.5前後で推移しており、重要な支持線である73付近に位置しています。歴史的な長期平均は70前後であり、2001年の安値は65でした。
銀の急騰の最大の要因は構造的な供給不足です。銀市場は2019年から供給不足が続いており、2025年も5年連続の年間不足となる見込みです。これまで不足分は地上在庫によってカバーされてきましたが、その在庫が急速に減少しています。ロンドン市場では10月に歴史的な逼迫が発生しました。今年前半のトランプ関税により、シカゴ・マーカンタイル取引所の銀に大きなプレミアムが付いた際、トレーダーがロンドンからニューヨークのCME指定倉庫に大量の銀を輸送しました。これによりロンドンの利用可能な在庫が大幅に減少しました。さらに、投資家による銀上場投資信託の購入が活発化し、ETFの原資としてロンドンの銀が紐付けられ、自由に使える在庫がさらに減少しました。インドでの銀の買い意欲も盛り上がり、世界最大の銀消費国であるインドでは価格が10月中旬に1キログラムあたり約17万ルピーまで急騰し、年初から85%上昇しました。
これらの要因が重なり、10月半ばにはロンドンで利用可能な銀がほぼゼロになったと見られます。その結果、銀のリースレートは急騰し、1ヶ月物が一時40%まで上昇しました。この逼迫に対応するため、ニューヨークからロンドンへ、また中国などからもロンドンに大量の銀が輸出されました。10月には中国からの銀輸出が過去最高の660トン以上に急増しました。これによりリースレートは1ヶ月物で6%前後まで落ち着きましたが、依然として高水準です。
中国では取引所監視下の銀在庫が10年ぶりの最低水準まで落ち込みました。上海先物取引所関連の倉庫在庫は2015年以来の最低を記録し、上海金取引所の取引量も9年以上ぶりの最小規模となっています。世界の銀産出量の約70%は銅、鉛、亜鉛の採掘の副産物として生産されているため、銀価格の上昇は供給増加を直接的に促すものではありません。世界の鉱山生産量は2016年に約9億オンスでピークに達し、その水準に戻ることができていません。
政策面では、米国政府が3週間前に初めて銀を重要鉱物に指定しました。米国は消費する銀の約64%を輸入しており、最大の供給国であるメキシコは世界生産の4分の1を占めています。この指定により通商法第232条の貿易審査権限が発動され、将来的な関税の可能性が高まっています。市場参加者は潜在的な貿易措置に先立ち、10月以降約7500万オンスの銀がCME登録倉庫に流入しており、これを予防的備蓄と見なしています。シカゴ・マーカンタイル取引所では12月限契約で大量の現物引き渡し注文があるとの見方もあり、これが実現すれば、現物が不足している状況でそれだけの量を集めることは相当なプレッシャーになる可能性があります。
マクロ環境も銀を支援しています。米国連邦準備理事会の利下げ期待が高まっており、市場は12月の0.25ポイントの利下げを完全に織り込んでいます。米国労働市場の継続的な弱さと連邦準備理事会当局者による先週の一連のハト派的コメントを受けたものです。非利回り資産である銀にとって、低金利環境は通常有利に働きます。さらに、ホワイトハウス経済顧問のケビン・ハセット氏が次期連邦準備理事会議長としてジェローム・パウエル氏に代わる可能性があるとの噂が、来年の追加利下げ期待を高めています。
金価格は小幅続伸し、4233.44ドルとなりました。年内の追加利下げ観測が引き続き、利子の付かない資産である金の支援要因となり、相場は一時4300ドル近辺まで上昇しました。しかし、米長期金利の上昇やドル安が一服したことから上げ幅を縮小しました。
銅価格は11月29日の金曜日に史上最高値を記録しました。シカゴ・マーカンタイル取引所での数時間にわたる取引停止の後、変動の激しい取引セッションの中で急騰しました。銅の新たな強気の勢いは、上海で開催されたCESCO Week イベントでの楽観的な見通しに続くもので、供給逼迫の予想が強化されました。銅価格は今年約27%上昇しています。中国の主要な銅製錬業者は、加工手数料の低下によりマージンが圧迫されたため、銅精鉱の受け入れを共同で削減することを約束しました。中国銅製錬業者購入チームは、来年精鉱加工料を10%以上削減すると報告されています。
プラチナ価格は前日比1.36%下落して1663.95ドルとなり、パラジウム価格は2.78%下落して1428.04ドルとなりました。前週の広州先物取引所での取引開始による上昇の反動が見られました。
※記事はNY時間の米ドル価格での変動です。日本円の取引価格では時差と為替の変動が加味されます。






